2020年11月17日November 17, 2020


当宇宙物理学研究室の増井翔さん(博士後期課程1年)が、VLBI懇談会シンポジウムにおいて『最優秀口頭発表賞』を受賞しました


 当研究室の増井翔さん(博士後期課程1年)が、11月16-17日にオンラインで開催されたVery Long Baseline Interferometry (VLBI)懇談会シンポジウムにおいて、「210-365GHz帯 広帯域円偏波分離器の開発」というタイトルで口頭発表を行い、『最優秀口頭発表賞』を受賞しました。
       

写真:受賞した増井翔さん

 本講演では、いまだ開発されてこなかった新方式を使用してミリ波サブミリ波帯において初となる円偏波分離器の広帯域化について発表し、その内容が高く評価されました。発表された円偏波分離器は、垂直偏波と水平偏波間の位相が90度ずれた円偏波を直行偏波へ変換する90度位相遅延器と、直交偏波分離器から構成されます。これまで広帯域化を妨げていた理由の一つに、最大波長と最小波長の比が1.7倍にも及ぶような広い周波数帯域において周波数依存性の少ない90度位相遅延器が開発できなかったことが挙げられていました。増井さんらは、この問題を解決するために、異なる周波数依存性を持つ2種類の位相遅延器を組み合わせ、周波数依存性を打ち消した新設計の広帯域な90度位相遅延器の開発を行いました。
円偏波分離器は、電波天文観測で用いられる受信機で広く使用される回路で、特にVLBI観測で使用されています。VLBI観測は、地球規模で遠く離れた複数の望遠鏡を組み合わせて、一つの大きな望遠鏡と見立てて、超高分解能な観測が実現できる観測手法です。ブラックホールの撮像に成功した国際プロジェクトEvent Horizon Telescope (EHT)においても、VLBI観測が使用されています。今回の周波数帯は、新しいEHT計画(ngEHT)において目標としている重要な帯域であり、今後の発展が期待されています。    

関連サイト

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